新婚生活と住まい
 私が現在住んでいるアパートは、床面積がちょうど40u。決して広くはないが、今のところ共働き夫婦2人が住むには十分だろうと思っている。
 ただ、キッチンが狭いのが悩みだ。欲を言えばきりがないのだが・・・。
 幅一間弱(170cm程)の中にガス台とシンクが入っているので、作業をするスペースは40cm程しかない。まな板を一枚置いたらいっぱいといった感じだ。私はまだいいが、体の大きな我が相棒が、広い背中を丸めてキッチンに向かうのを見ると、狭さを実感してしまう。手足やおでこを家具等にぶつけることもしばしばで、その度に「今度住む家は、もう少し大きくないとね」などと話している。


 一方、私の実家では、状況は逆だ。身長140cm台の母は、キッチンにアルミ製の脚立を持ち込んでいる。高い棚に手が届かないため、苦肉の策として購入したものだが、キッチンに限らず、クローゼットの中も洗面所でも、脚立は大活躍している。
 しかし、そんな母ももう還暦を過ぎた。脚立に乗って荷物の上げ下ろしをする姿は危なっかしくて、見ているこちらがひやひやしてしまう。
 実家は築12年の戸建て、新築時には家族の体型や生活パターンなどを十分に考えたはずだったが、どんなに入念に選び抜いた設備でも、自分の体にぴったり合った寸法というのは、そう簡単には手に入らないものなのだろうか。

自分にぴったりの家に住む魚
 さて、今回の写真は、巣穴から顔を覗かせているミナミギンポだ。ミナミギンポは、細長い体に合うように小さな穴に住み着く習性がある。住まいを提供するのはゴカイ類などだが、時にはパイプやホースのようなものに住んでいる時もある。
 彼らは、穴に入る時、器用に尻尾から入る。この時も、時折周囲の様子を伺うように穴から細長い体を半分ほど出しては、またスルリと吸い込まれるように穴に戻ることを繰り返していた。
 このくねくねとした不思議な形の巣穴も、自分でつくったものではないはずだが、まるで自分の体の一部のように住みこなしていたのが印象的だった。
 オーダーメイドでなくても、こんなに自分にぴったりの家が見つけられるなんてうらやましい限りだ。

(撮影地:安良里・黄金崎公園ビーチ、撮影者:田村欣也)