住まい手のための「考」房コラム


禁煙とシックハウス対策 新建ハウジング編集部 三浦 祐成

 私事ですが、最近タバコをやめました。タバコをやめると臭いに敏感になりました。取材に行っても、今まで感じなかった塗料や接着剤の臭いが気になります。そこで思い出したのが、昔聞いたこんな話です。「タバコを吸っている人はシックハウス症候群にならない。鈍感だから」。シックハウス症候群の症状が女性に多くあらわれ男性に少ない理由もこのせいでは、と言われていました。

シックハウス症候群は遺伝的疾患?
 最近の研究では、シックハウス症候群の発症については、タバコではなく、遺伝的な要素が大きいということが分かってきています。
 例えば、「グルタチオン」という酵素をつくる遺伝子が欠損している人は、体内に入ってきた毒を分解できず過敏反応を示すそうです。同じ場所で同じ時間過ごしていても、発症する人としない人がいるのは、この遺伝子が関係しているせいではないか、と言われ始めています。
 また、有機リンなどに反応する「エスラーゼ」という遺伝子は、母系遺伝のみで子どもに受け継がれます。このような女性だけがもつ遺伝子と化学物質の関係も、女性が発症しやすい一因として考えられ始めています。
 本当にシックハウス症候群の発症が遺伝的に左右されるなら、言いかえれば有害物質の許容度が遺伝レベルで分かるなら、血液型のように一人ひとりが検査を受けてそれを把握しておいたほうが良い、ということも言えます。許容度のようなものが分かっていれば、それに合わせた個別のシックハウス対策が(ある程度は)可能になるかもしれません。
 しかし逆に、有害物質に弱い人からの依頼をつくり手が拒否する可能性もあり、差別的な状況が生まれるかもしれません。あらゆる遺伝的な疾患がそうですが、個人情報の公開は難しい状況をはらんでいます。

一番簡単なシックハウス対策
 話が少し飛躍しました。
 こうしたシックハウス症候群の医学的な研究はまだ始まったばかり。発症メカニズムの解明にしても、有害物質がカラダに与える影響の解明にしても、まだまだ時間が必要です。
そのなかで、いまのところ最も効果的で簡単な有害物質対策が「換気」です。
 建築基準法が改正され、機械換気設備の設置が義務付けられました。でも、つくり手からも住まい手からも、いまだ義務化に対する非難の声が聞こえます。せっかくつけた換気設備のスイッチを切ったままにしておく人も多いようです。
 「自分は大丈夫」と思っていても、遺伝的に化学物質に弱い可能性もあるかもしれません。また、規制対象となった有害物質(ホルムアルデヒドとクロルピリホス)以外の物質も、換気が働いていれば除去することができます。住まい手の皆さんには、どんな方法でも換気を徹底してほしいなと思います。
 ちなみにタバコを吸えばホルムアルデヒドなどの有害物質が出ます。こちらもきちんと換気したいものです。


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