

なぜ、トヨタは住宅市場で圧勝しないのか 住宅ビジネスに関して、ずっと興味を持っていることの一つに「なぜトヨタは住宅産業で成功していないか」といったことがある。これまで多くの企業が住宅産業に参入してきている。ヤクルト、カネボー、東芝、日立化成、三井造船など、その多くは数年で撤退している。トヨタ自動車も1974年にユニット住宅で住宅産業に参入した。豊田家の場合、一代一産業での成功が伝統であるという。自動織機の豊田佐吉、自動車の豊田喜一郎、そして豊田章一郎の選択は住宅であった。 しかし、いまのところトヨタは住宅産業では成功しているとは言えない。なにしろいまだ年間3,000棟台に甘んじているからである。同じような製造業出身のNKK、クボタ(いまは三洋)と同じような年間新築棟数である。 トヨタの住宅生産システムはロボットを活用するなど、最先端のものであるし、生産される住宅にしてもけっして悪いものではない。では、なぜトヨタの住宅は売れないのか。売り方が甘いということで、タフな営業で評判となっていた朝日ソーラーとの提携も行われた。それでも芳しい成果は上がらなかった。 |
| 積水ハウスなどの旧日窒グループの成功要因 住宅産業で成功しているのは、旧日窒コンツェルン・グループである。敗戦で軍部による化学工場解体命令、ソ連軍による接収で、事業の拠点であった朝鮮における資産の全てを旧日窒コンツェルンは失った。さらに1947年の過度経済力集中排除法に基づき旧日窒コンツェルンは解体された。日窒化学工業(株)は1946年延岡工場を中心に旭化成工業(株)に、またプラスチック事業がまとまって1947年積水産業(株)(翌年積水化学に改称)が設立された。 積水化学から分社した積水ハウス、積水化学工業のセキスイハイム、旭化成のヘーベルハウスは、旧日窒グループであり、この3社のシェアはハウスメーカーの中でもかなり大きい。なぜ旧日窒グループの化学工業からの住宅産業への参入が成功したかは、大いに興味がある。 一方、日本の戸建て住宅市場の特殊性も大きな要因になっているはずだ。そのほとんどは注文住宅である。自動車も含め他の多くの商品はSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)を効果的に行うことで成功したが、注文住宅はこの逆の流れであるDCM(デマンド・チェーン・マネジメント)を効率的に行うかどうかにかかっているとも考えられる。 製造業としては成功しているが、住宅産業で成功していないトヨタやNKKなどは、供給側から見た効率化すなわちサプライ・チェーン・マネジメントを考えており、住宅産業として成功している積水ハウスなどは、ユーザー側から見た効率化であるデマンド・チェーン・マネジメントを行ってきたとも言える。 |
![]() ![]()
|
| 3Sモデルに学ぶ デマンド・チェーン・マネジメントで成功しているのは、パソコン業界のデル・コンピュータ社である。パソコン製造はオープン部品を組み合わせるアセンブリー産業である。日本のものづくりはむしろ家電や自動車産業のようにクローズドにとことん作り込むところに力が発揮される。ソニーなども結局パソコン分野では成功していない。 年間1兆円もの利益を上げるトヨタ・モデルは自動車産業などで有効であっても、建設や住宅産業では、むしろパソコン業界のデル・モデルが有用であると言える。 これは3Sモデルと呼ばれ、Sell(販売)、Source(手当て)、Ship(出荷)といった順にビジネスが流れるビジネス・モデルである。われわれはもっとデルに学ぶ必要がある。 |
![]() |
![]() |
||
|
|||
| |